私が遥生のクラスを探していたら、仮装している女の子に声を掛けられた。

「ね、ね、あなたとっても可愛いね。この衣装が絶対に似合うと思うの。これに着替えて写真撮らない?」

その子はそう言って中世の上流階級が着るようなドレスと仮面を見せてきた。

「わ、素敵な衣装。あれ、もしかしてここは1年F組ですか?」

「うん、そうだよ。ね、絶対に似合うから。お願いします!写真を撮ってください! 死活問題なんです」

とても必死に私を呼び込むな、って思って周りを見たら遥生のこのクラスはあまり人気が無いようでお客さんがまばらだった。

「いいですよ。写真お願いします」

直生を待ってからでも良かったんだけど、中に入れば遥生に会えるかなって思って先に写真撮影をお願いした。

「じゃ、こっちに来て。女子更衣室はこっちなの。髪もそのシニヨンを解いてもいいかな? 撮影が終わったら元に戻してあげるから。この衣装は絶対に髪を降ろしていた方が可愛いから」

そんなに本格的に撮影してくれるんだ。

可愛く撮ってくれるといいな。

あ、そうだ。

遥生を呼んでもらわなきゃ。

私は教室にカーテンで仕切っただけの更衣室に通されてから遥生を呼んでもらうのを忘れていたことに気が付いて。

撮影が終わったら呼んでもらえばいいか。