遥生のことをたくさん考えて、考えすぎて眠れなかった。

私は眠い目をこすりながら登校するために直生を迎えに行く。

いつもならリビングにお邪魔して直生の準備ができるのを待っているのに、今日はなんとなく玄関先で直生が出てくるのを待った。

遥生に会ったらどんな顔をしていいのか分からない。

遥生はもうとっくに学校へ行っていて、家の中にはいないのに。

「夏芽、おはよう。家に入ってくればいいのに。どうしたの?」

「直生おはよう。ん-、なんか靴脱ぐのが面倒になっちゃった」

「あはは、そんなことある?」

きっと直生は私の態度がいつもと違うのを見抜いてる。

でも優しいからいつも通りに接してくれているんだ。

学校までの道を歩きながらずっと遥生のことを考えてる。

直生との会話が全然頭に入って来なくて。

「夏芽、何か上の空だね。どうしたの?」

私は思い切って直生に遥生のことを聞こうと思った。

「ねえ直生。あのさ、遥生の好きな人って・・・」

遥生の好きになった人がどんな人なのか、誰なのかを直生に聞こうと思ったのに。

私の言葉を遮るように後ろから男の子に声を掛けられた。

「よっ! ご両人!! 毎日一緒に登校なんてアツアツだね」

この人誰? 何のことを言ってるの?

その声に反応したのは直生で。

「変なこと言わないでくれる? アツアツって何?」

するとその男の子は続ける。

「だってお前ら付き合ってるんだろ。今更隠す必要なくね?」

はい? この人は何を言ってるんだろうか。

「ちょっと待ってよ。誰がどこでそうなってるんだよ」

直生には珍しく慌てている。