「夏芽、デートのことごめんね。夏芽を応援してるよって言ったのに。本当にごめん」

私の部屋に入るなり直生が私に謝ってきた。

「うん。もういいよ。坂野くんにはお付き合いできないって言おうと思っていたし」

「え? そうだったの。あんなに夏芽はデートを楽しみにしていたのに」

私は直生が気にしてしまうと思って無理に笑いながら答えた。

「私ね、デートに憧れてただけなの。坂野くんが好きだから出掛けるとか、そんなのじゃなかったから直生は気にしないでね」

直生は「そっか」と言って、坂野くんについて話を終わらせた。