「あれ? 湯川くんだよね」
隣から知らない男に声を掛けられた。
誰だコイツ。
俺は漫画本を見開いたままその男の方をチラっと見た。
「やっぱり湯川くんだ。あ、そうか。高田さんとは幼馴染だったよね。高田さんちの近所にいてもおかしくないか」
高田? それって夏芽のことか?
もしかして夏芽がデートする相手がコイツなのか。
俺のことを直生と勘違いしてるのか。
コイツが俺のことを直生だと思っているのなら丁度いい。
俺は直生のふりをしてコイツに話し掛けてみた。
「こんなとこでなにやってんの?」
コイツは少し驚いたようだったけど、会話に返してきた。
「う、うん。今日は高田さんと会う予定なんだ。このコンビニで待ち合わせしてる」
は? ちょっと待てよ。
ここで待ち合わせてるって。
夏芽が来たら俺が直生のふりをしてるって一発でバレるじゃないかよ。