ブツブツ独り言で直生に文句を言っていたら後ろから来た綾乃に肩を叩かれた。

「なーつーめっ! 見てたよー。隣のクラスの子に告られてたね。なんて返事したの?」

「え、綾乃ってば見てたの? だったら声掛けてよー。どうしていいか分からなかったんだから」

「なに言ってんのよ、夏芽。直生だって気を利かせて先に行ったじゃない。夏芽と一緒に告白を聞いてどうするのよ」

「そう・・・かもだけどさ。何かアドバイス欲しかったし。結局返事保留みたいに言っちゃったよ」

「ま、あの子のこと少し知ってから返事してもいいかも知れないね。夏芽は直生と遥生しか男を知らないんだし。いい機会かもよ」

直生と遥生しか男を知らないって。

だいたい、あの2人に対しては男として意識してなかったもん。

それはこの前、直生に注意されたから意識するようにはするけどさ。

「じゃあ、坂野くんのこと知ってみるよ」

いつまでも直生と遥生に依存していたらだめだよね、私。

それに告白してくれた坂野くんの気持ちも大切にしなきゃ。