そうだ。俺たち3人は幼い頃、崖から落ちたんだ。
あの時、俺はもうろうとしていたけど意識はあった。
そして直生が誰かと話しているのを聞いていた。
そう、思い出した。
あの時確かに直生は生き返らせてと誰かにお願いしていた。
直生は己の全てを夏芽のために使うと決めていたんだ。
そして、直生の命は俺たちが16歳になったいつかの時まで。
その時はいつなんだよ、直生。
直生から離れて、俺が直生にそれを聞こうとした時、直生は俺と夏芽の肩を押して
「早く行かないと」
そう言ったんだ。
「うん、じゃあ直生、行ってきます!」
何も知らない夏芽はそう言って直生に背を向けて歩き出した。
「ちょっ、夏芽ちょっと待って」
俺は夏芽を呼び止めようと直生を背にして夏芽の方を向いた。
俺が直生から目を離したのはほんの一瞬だった。
夏芽が足を止め、俺を不思議そうに見る。
「なあ、直生・・・」
そう言って直生がいた方に振り返ると、そこには誰もいなかった。



