「遥生・・・はるきぃ」
私は遥生の胸の中に閉じ込められて、ドキドキしながらも安心して。
私からも遥生の背中にそっと手を回した。
「夏芽がスリに遭った時、直生は夏芽のこと守ってくれたか?」
「あの時はね、クラス別行動だったから、あの場所に直生はいなかったの。ホテルで直生に話したら危ないことするなって怒られたの」
「直生に怒られたのか。直生はああ見えて俺よりも夏芽には厳しいからな」
「直生は全然厳しくないよ。私には凄く優しいよ」
「そっか。夏芽がそう感じているなら、それでいいよ。ただ直生の夏芽に対する気持ちは半端じゃないのは分かってやれよ」
遥生も直生が私に接する態度が他の人への態度と違うのは分かっているんだね。
「あのね、その事なんだけどさ。直生は私と遥生を応援してくれているでしょ。私たちが付き合い出したきっかけも作ってくれたし」
「ああ、そうだな。それがどうした?」
「えっと、その。言い難いんだけどさ。図に乗った発言なのは百も承知なんだけど。直生ってさ、私のことどう思っていると思う?」
「直生が夏芽をどう思ってるかって? ははっ、そんなの夏芽のこと大好きに決まってんだろ」
「それってさ、どんな好き?」
「それを俺に聞くの? ああ、でも俺さ、夏芽のことどう思ってるか前に一度直生に聞いたことがあるわ」
「うん。直生はなんて?」
「直生の本心か分からないけど、夏芽とはずっと幼馴染でいたいんだって。夏芽のことは大好きだけどそれは男女の好きじゃないんだって言ったんだ」
「私にも直生はそんな感じのことを言ってくれたの。それでも凄く凄く大切にしてもらってて。このままでいいのかな、って思って」
「直生がそうしたいんならそれでいいんじゃないか? ただし! 恋愛の対象として直生のこと見るなよ。夏芽の恋愛対象は俺だけだかんな」
「そんなの分かってるよ」
「で? 夏芽は修学旅行中、直生はもとより他の誰とも浮気しなかったか? 同じ班の男たちとも仲良くやってなかったんだろうな?」
「浮気なんてしてないよ。さっき言ったでしょ、私はそれどころじゃなかったの」
「確かにそーだな。っつーかさ、夏芽が浮気するとかって最初っから全然思ってないから」
「なっ! それならどうしてあの時・・・」
「あの時って?」
「もう! なんでもないもん。バカ遥生」
今度は私が頬を膨らませて拗ねた。



