極悪人の抱き枕になりました。

そう言われて夏波はなんだか照れくさくなってしまう。
さっきの言いカタだと伊吹の母親みたいだったかもしれない。


「で、でも、朝はちゃんと食べたほうがいいよ。力が湧いてくるから」

「そうか。それならシリアルがあったはずだ」


伊吹が戸棚を見ている間に夏波は牛乳を取り出した。
年のために賞味期限もチェックしておく。


「食料品の買い出しもしないといけないな」


ふたりで向かい合わせに座ってシリアルを食べていると、伊吹が呟く。


「普段は家じゃ食べないの?」

「滅多に食べないな」


やっぱりそうなんだ。
この部屋に来たときからやけに生活感がないと思っていた。


「それならできるだけ料理はするから、ここで食べてね」


夏波は伊吹とは視線を合わせずにそう言ったのだった。