「ん…」




お昼の素麺を食べて軽く昼寝をしたつもりが、がっつり夕方の七時まで寝てしまっていた。


居間に行くと今日もたくさんの夕飯が並んでいて、これまた美味しくてついつい食べすぎてしまった。


このままだと、おばあちゃんちにいる一ヶ月間で太ってしまいそうで怖い。



ウォーキングという名の夜の散歩として、おばあちゃんに一言言ってから外に出る。


夏だけど夜の風は少しだけひんやりとしていて、気持ちが良い。



昔の夢を久しぶりに見てしまったせいか無性に昴に会いたくなり、いるとは限らないのに展望台に自然と向かっていた。


少しドキドキしながら階段を上がる。




「…昴」




あの日と同じベンチに座り、夜空を眺めていた昴の名を呼ぶ。


昴は少し驚いた顔で振り向いてきて、同じように私の名前を呼んだ。



名前を呼んだら名前が返ってくる。そんな些細なことに、なぜか泣いてしまいそうになる。


昴は制服姿だった。きっと学校帰りにここに寄ったんだろう。