「ひまちゃん、まだ寝てるかい?」




布団の中でぼーと天井を見つめていると、襖からおばあちゃんが控えめに顔を出してきた。




「あ、ううん。もう起きたとこだよ」




昴に会わなくなってから一週間が経った。


明日で夏休みが終わってしまう。だけど昴に会いにあの展望台に行くつもりはもうなかった。




「明日で東京に帰っちゃうなんて悲しいねぇ…」


「また来るよ。来年は受験生だから難しいかもだけど、冬休みとか春休みとかにでも」


「そういえば、毎日遊んでたお友達に、お別れ言いにいかなくていいのかい?」




ぴくっと笑顔を浮かべていた頬が引きつった。




「…うん。もう言ってあるから」




ダメだ。昴のことを思い出したら泣きそうになってくる。


昴のせいで私の胸はぽっかりと穴が空いてしまった。



…もう、忘れないといけないのに。