「鈴ちゃん!それって、トロフィーが盗まれたってこと…!?」

「…そうだと思う。まだだれも気づいていないだけで」


わたしは応援席から距離を取って、近くに人がいないことを確認すると、体操服のズボンの右ポケットに手を突っ込んだ。

取り出したのは、イヤリング型インカム。


「それって、悠くんと連絡が取れるやつだっけ?」

「うん。念のために持ち歩いてるんだ」


わたしはさっそく悠に連絡した。

すぐに悠が反応する。


〈どうしたの、ねえちゃん?今日って運動会でしょ?〉

〈…そうなんだけど。ちょっと悠に調べてほしいことがあって〉


わたしは悠に状況を説明した。

すると、悠はすぐに調べ始めた。


〈見つけたよ。校舎裏に怪しげな男女2人組を〉


グラウンドや本部のテントには防犯カメラはない。