「…そうだよね。それに、トロフィーに触ってもいいのは校長先生と、その年に優勝したチームのリーダーだけだよね」

「うん。だから、あそこからトロフィーがなくなるはずがない…」


――ということは。


「…だれかが持ち去ったに違いない」


わたしはごくりとつばを呑んだ。


軽快なBGMが流れ、生徒や保護者の応援する声が響くグラウンド。

みんなが運動会を楽しんでいるというのに、その裏で悪いことを考えている人がいるなんて思ってもみなかった。