「鈴ちゃん、大丈夫…?」


お昼休み。

屋上でぼうっと風景を眺めていたわたしに、芹那ちゃんが声をかける。


「…ああ、芹那ちゃん」


わたしは、芹那ちゃんに少しだけ微笑む。


「もしかして、ダンダンが言ってたこと…気にしてたの?」


芹那ちゃんの問いに、わたしはゆっくりとうなずいた。


「うん…。自分が…泥棒と同じことをしているだなんて思ってなかったから」

「気にすることないよ!そう思ってるのはダンダンだけだから」

「そう…なのかな」

「だって、泥棒に盗られた人はみんな悲しい顔するでしょ?でも、怪盗ベルはそんな人たちを笑顔にする。泥棒なんかじゃなくて、正義のヒーローだよ!」


芹那ちゃんは、笑ってそう言ってくれた。


怪盗ベルは『泥棒』じゃなくて、『正義のヒーロー』。