『『怪盗ベル』って鈴ちゃんだよね?』


さっきの芹那ちゃんの発言が、まるで録音したかのようにわたしの頭の中で繰り返される。


えーーーーー…っと、これは…。

つまり…、どういうこと?


「…わ、わたしが…ベル?そんなわけないじゃん、芹那ちゃん」


動揺していることがバレないように、なんとか平常心を保つ。

内心、心臓はバクバクしているけど。


「あたし、昨日の夜中に玄関で物音がしたから目が覚めちゃって。そしたら2階のあたしの部屋から、黒っぽい服を着た鈴ちゃんが庭を走っていくのが見えて」


ど…どうしよう。

完全に芹那ちゃんに見られている…!


「でも…夜中だよね?暗かったから、わたしっぽく見えただけじゃないのかな」

「それはないと思う。だって、長年いっしょにいる幼なじみを見間違えるわけないじゃんっ」