スパイグッズなだけあって、機能に優れたものだった。


「あとは、これをつけて…っと」


悠はわたしの左耳にイヤリングをつける。

スパイグッズのイヤリング型インカムだ。


「さっき、オレのスマホに繋いだイヤホンとマイクとで連動できるようにしておいたから、これでいつでも連絡が取れる」


わたしが着替えている間にそんなことまで…。


「おばあさんのハンドバッグを取り返すのは、運動神経のいいねえちゃんに任せるよ。オレは機械を駆使して、そのサポートにまわるから」


両耳にイヤホンをつけながら、親指を立ててグッドサインのハンドジェスチャーをする悠。


1人で取り返すのは無理かもしれない。

だけど、悠といっしょなら――。


「わかった!あとのことはよろしくね」


わたしも悠に向かって親指を立てた。