まるで時間が止まったかのように、固まったまま見つめ合うわたしと光井くん。

ふと光井くんの視線は、わたしが抱えていたトロフィーに移動する。


「そのトロフィー…」


なにも知らない光井くんがこの状況を見たら、わたしがトロフィーを盗んだと勘違いするに違いない。

だって、光井くんの中では怪盗ベルは『泥棒』なんだから。


わたしはごくりとつばを呑む。

――すると。


「もしかして、お前がトロフィーをこの2人から取り返したのか?」


思いもよらない言葉に、わたしは一瞬キョトンとした。


「実は、この2人がトロフィーを盗むところは目撃していたんだ。すぐに、指名手配されている宝石泥棒だってわかった。だから、2人を追うためにここまできたんだけど」


そうしたら、宝石泥棒は眠って縛られていて、わたしがいたというわけだ。