敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~

秋から冬に季節が変わる頃、岩切製紙には大きな成果があった。
政府の介護ケア支援政策の一環で次年度に様々なイベントが行われるのだが、岩切製紙はその協賛企業となったのだ。さらには介護ケア用品の拡充やユーザーへの無償支援について、データやサンプルを提供し、先頭に立って施策を進めるのは岩切製紙。いわば旗振り役であった。

「岩切副社長の尽力のおかげだな」

総務部でこれらの成果が発表されたとき、私の隣でそう言ったのは同期の神野(かみの)だった。私は総務部秘書課、彼は総務部庶務課。オフィスは一緒だ。

「うん、要さん、この件については本当に頑張っていたから」
「秘書として高垣も嬉しいだろ」
「そうだね」

私ができることは、彼が仕事をしやすいように手伝うくらいだ。要さんはひとりでなんでもできる人である。そんな彼が望む仕事ができるのは私も嬉しい。

「高垣、いるかー?」

そこに要さんがやってきた。総務部のドアを無造作に開けて、私を呼ぶのだ。すぐに総務部長らが要さんに祝福の言葉をかける。