要さんが出かけていき、麻里佳さんも帰宅すると言ったが、ちょうどほのかちゃんも大地も並んで眠ってしまった。
今、連れて帰るより、お昼寝後の方が機嫌よく帰れるかもしれないというのでいてもらった。私も用意した昼食のサンドイッチを食べてもらえたほうが嬉しい。

「眠っていると天使みたいなんですけどね」

私は大地を見つめて、ふうと苦笑いのため息だ。麻里佳さんがふふと笑う。

「わかる。一度寝たら起こしたくなくて、ものすごく静かに行動しちゃう」
「寝ている間が束の間の息抜きなんですよね」

ふたりで笑って、ベビーたちが起きてしまわないかハッとして様子をうかがった。

「都子さんと要さんはどうかふたりで幸せになってね。私がご迷惑をかけてしまったせいで、遠回りさせてしまったから」
「遠回りではないです。私はひとりで大地を産んで、ひとりで育てるつもりでした。要さんが現れて、そばにいるといってくれて、自分の覚悟を貫いても意味がないと思い始めています」

私の中にある混乱の一端は、生半可な覚悟で選んだわけではない道を、簡単に捨てていいのかという迷いだった。
我執ともいえるかもしれない。
差し伸べられた手を取っていいのか。彼に甘えてしまっていいのだろうか。