敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~

クリスマスイブの朝、私は朝から家中を掃除していた。掃除と洗濯が終わったら、食事の仕込みだ。
夜は要さんと大地と過ごす予定だったが、今日はその前に来客の予定が入ったのだ。

「都子、そんなに神経質にならなくていいぞ」

大地をあやしながら、要さんが言う。お休みの要さんは大地の面倒と朝ごはんを担当してくれている。

「だって、麻里佳さんも赤ちゃんを連れてくるんでしょう。清潔にしておかないと」

今日は要さんの元婚約者の猪川麻里佳さんがやってくるのだ。なんでも、彼女の方から私と大地に会いたいと言っているらしい。

「麻里佳のところの娘も、まだ大地と一緒で仰向けで寝ているだけだよ」
「だからですよ。ふたりとも床に近いお布団にいるわけですから。埃やごみがないようにしないと」
「麻里佳の娘は生後四ヶ月だから、もう寝返りとかするのかな」
「四ヶ月ならまだですねえ」

麻里佳さんは八月の頭に女の子を出産したそうだ。大地より月齢がひと月上の赤ちゃん。
麻里佳さんと直接話したことはないが、要さんを猪川家や猪川家主催のパーティーに送るとき、会釈をし合うような関係ではあった。要さんは私への気持ちを麻里佳さんに相談していたらしいし、なんとも恥ずかしく感じる。