敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~

「会長や奥様は、私と大地のことを知っているんですか?」
「ああ。麻里佳との婚約解消の時点で、高垣都子が好きだとは言ってある。大地のことはまだ話していない」

私は大地を見下ろし、唇をきゅっと結んだ。この子の存在は、彼の両親を驚かせるものだろう。

「都子が俺と一緒になると決めてくれたら紹介しようと思っている。もし、都子が俺と別の道を行くとなったとき、両親は唯一の孫である大地に執着するかもしれない。岩切製紙は一族経営だからな」

そうか。大地だけはほしいと言われる可能性もあるのだ。それは絶対に駄目だ。

「そんな硬い表情をしないでくれ」

要さんが私の頬に触れてくる。逃げるより彼をまっすぐに見つめ返した。

「要さん、私は大地を渡せません」
「わかってる。だから、都子が自由に道を選べるように、両親にはまだ話さない。まずはひと月、俺と過ごしてくれ。クリスマスに正月、休みが取れる時期だからふたりと長く一緒にいられる」

この人はどこまでも真摯に私に関わろうとしてくれている。
感謝しているし、私が恋した人は人間的に立派だと再認識する。
だからこそ、私は彼と過ごしながら中途半端な答えは出さないようにしたい。