敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~

「あ、大地。オーナメントは駄目。要さん、口に入れる前に取り上げて」

大地が手にしたオーナメントを引っ張るので、ツリーはがさがさと揺れた。要さんが変わりに大地の好きなガラガラを手に握らせる。大地は納得したのかガラガラを不器用に振りだした。

「ツリーは見て楽しむものなんだぞ」

要さんはそんなことを言って微笑む。表情が父親の顔をしているように思えた。厳密に言えば、私は父親の顔を知らない。物心つく前に両親は離婚していたし、母が体調を悪くするまで祖父母ともあまり交流がなかった。
それでも、要さんが大地を抱いている姿は、父と息子という構図だった。しっくりくるとしか言えない。

「都子?」

要さんが私の顔を見る。私は電飾を手に凍り付いたように動けなくなっていた。

「どうした?」
「なんでもないんです。ただ、ツリーを飾るのが初めてで、電飾の巻き方がわからないなって」

私が母子家庭育ちなのは要さんも知っている。大地を私に抱かせると、自らツリーに電飾を巻いていく。

「ああ、そういうふうに巻くんですか」
「子どもの頃から、やっているしな」

子どもの頃の要さん。愛されて育ったのだろうなと思う。