ここまで言われて、私は彼を拒否しきれない。私の心にある恋が、彼を拒絶できない。

「わかりました。ひと月だけなら」

私の言葉に要さんは本当に嬉しそうに目を細めた。

「改めて、次の日曜に挨拶に来る。おじいさんとおばあさんにも納得してもらって、それから都子と大地を連れて帰る」
「はい……わかりました」

要さんの車がパーキングから出て、幹線道路へ向かうのを見送った。夢を見ているみたいだと思った。戸惑いと困惑。そして、どうしようもない嬉しさも確かにあった。


その週末、要さんは再び私の実家に現れた。
私から祖父母には話してあったので、話し合いはスムーズだった。

祖父は納得しきれたわけではないようだ。私の母も結婚では苦労した。顔も知らない私の父を、祖父はまだ憎んでいる。
それでも私と大地の幸せを一番に考え、無理強いはしないと頭を下げた要さんを見て、私たちの同居を許してくれた。

私は祖父母に年末年始をともに過ごせないことを詫び、その足で要さんとともにアパートへ向かった。
大地と私の衣類や、おむつやミルクなどの日用品を車に詰め込む。要さんがすでに用意してあったチャイルドシートに大地を乗せ、私はそのまま要さんの広尾のマンションに向かったのだった。