敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~

「高垣、俺と暮らそう。この子と三人で」

要さんが私の肩に触れる。祖父が割って入り、要さんを押し返した。

「あんた、いい加減にしろ。都子を孕ませておいて、なんだ! 自分の結婚が駄目になったからってまたすり寄ってきやがって! 俺の孫も曾孫も、あんたのおもちゃじゃないぞ!」

次の瞬間、要さんが玄関の土間に土下座をした。あまりに迷いない謝罪に私と祖母が狼狽したくらいだ。

「申し訳ありません! 都子さんとの関係を、順序を違えて進めてしまったのは俺です。都子さんが妊娠しているかもと思いながら、引き留められなかったのは俺です。俺がすべて悪い」

面食らった。退職の意志を伝えたとき、この人は勘づいていたというの?

「言い訳になりますが、どうか聞いていただきたい。都子さんを迎えにきました」

祖母が土間に降りて、要さんに語り掛ける。

「どうか頭をあげてください。ここは寒いですし、中でお話ししましょう。都子、あなた、いいですよね」

祖母の言葉には有無を言わせぬ響きがあった。このままではいけないと誰よりも思っているのが伝わってきた。
私もまた、もうごまかしてはいけないのだ。