敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~

「いや、本当に皆さんのおかげですよ。いつもありがとうございます」

要さんは年上の部下たちに笑顔で礼を言い、私のところにやってくる。

「高垣、今日のアポ、調整してくれ。夜は空けたい」
「承知しました。例の件ですか?」
「そう。来週には政府の有識者会議に呼ばれるから、説明書類を整えて質疑応答考えておきたい。悪いけど、客先の接待を受けている暇はない」

要さんはあっさり言い、私のPC画面を覗き込む。要さんの予定の詳細がここにあるのだ。

「お断りの連絡を入れておきます。説明書類については、先日のレジュメでは駄目ですか?」
「もう少し詳細なデータがいる」

放っておくと終業後家に帰らずにひとりでこなしてしまうだろう。

「お手伝いしますので、外出の際にご教授ください」
「助かる。高垣が手伝ってくれたら日付が変わる前に帰れそうだ」

そう言って要さんは総務部を出て行った。これから外出なので、三十分後には副社長室に迎えに行く。今日の移動中に詳しく話そう。