その日、いつも通りの時間に起床したシャノンには、おかしな違和感があった。
頭の奥がずっしりと重く感じて、なにやら臍の下あたりからツキツキと刺すような痛みがある。
おそるおそる毛布を剥ぎ――それを目にしたシャノンの顔は真っ青になった。
「シャノン様、おはようございます」
「ま、待って……!」
今朝の身支度担当であるマリーの入室に慌てて止めようとするが遅かった。
すでに起きていたシャノンに向かって笑みを浮かべていたマリーは、シャノンの寝台に目をやると「あっ」と声を出す。
「シャノン様、もしかして……」
マリーは素早く察した様子だったが、シャノンには未知のことだった。
自分の体の異変が分からず混乱していると、マリーはにこにこと微笑みながら言った。
「おめでとうございます、シャノン様。月の巡りが始まったのですね!」
「月の、巡り?」
それは、シャノンが目覚めて約二ヶ月後の出来事だった。