「これで互いに遠慮せず話せるだろう。さて、とんでもない事実を隠していたものだな、ダリアン」

 人払い後、空気を和らげた皇帝は、くつくつと喉を鳴らし笑いかけた。
 ダリアンは苦い顔を……いや面倒臭そうにため息を吐いている。
 それを見た皇太子はクスクスと笑って話に混じった。

「陛下、秘密主義の伯爵に意地悪したい気持ちも分かりますが、まずは事実確認をしましょう。シャノン殿……君は毒素を浄化できるという話だが、それは本当なのかい?」
「はい。本当です」

 シャノンは素直に認める。皇帝と皇太子の表情が、ほんのりと真剣味を帯びていく。

「……事実だ。この体に蓄積されていた毒素も、浄化によって消えた。城に来てまで無駄な虚偽を並べるつもりはない」

「ああ、君はそういうやつだね。それは友人である僕が保証しますよ、陛下。そして僕にはシャノン殿も無意味な嘘をつくような人間には見えない。理解するためにも、順を追って話を聞かせてくれないかな」


 それから、これまでの経緯をすべて話すことになった。