【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。






……三滝先輩が、三年生で一番かわいいって話を聞いた、から?





それで急に不安になったの? わたし。
……そもそも、不安になるってなに。





聖里くんとわたしはただの同居人で、それ以上になることはない。
同居人だったら、一緒に添い寝をしたり、風邪の看病をしてもらったり、全然あるだろうし。




怒って首を噛んじゃうのは……よくわかんないけど。





「ってかなに。好きな人でもできた?」


「……へっ」





変な声出た。
いや、まあ、そりゃそうなるよね? 今の話の流れからして。
思い返してみても完全に恋バナだ、うわあ、間違えた。





「そういうのじゃ、ないんだけど」


「だってなぎちゃんがそういう話持ち出すの珍しくない?」


「……うん」





だって、こういうのに関しては芙実ちゃんのほうが詳しいじゃん。
聞いたほうが手っ取り早いかなって、思っちゃった……んだもん。





「まあ言いたくなさそうだし、詮索はしないでおいてあげる。でもね、なぎちゃん」


「うん?」


「片想いは楽しいって聞くけど、全然辛いことのほうが多いよ。……わたしも、なんで松野くんを好きになっちゃったのかわかんないし」