結局、午後の授業は全滅。
なんにも頭に入ってこないし、先生にあてられても答えられなくて「授業ちゃんと聞けよー」なんて怒られちゃうし。
「……はあ」
「どしたの、なぎちゃん。今日ダメダメだね」
「うーん……」
ぺた、って机に頬をつけて窓の外を眺めていると、ブブってスマホが震えた。
パッと起き上がって見れば、聖里くんからの通知。
【今日遅くなるから、先ご飯食べてて】
……なにそれ。
薄れかけてた記憶がもう一度鮮明に脳内に映し出される。
三滝先輩と遊びに行くの?
昼休みのアレは、その約束を取り付けていたところだったの?
……結局、聖里くんもああいう女の子が好みってこと?
「ねえ、芙実ちゃん」
「んー?」
「わたしって、守ってあげたくなる?」
「え、なにその質問」
芙実ちゃん。
笑い事じゃないんだよ。
「でもなぎちゃんは儚くはないからなあ。守ってあげたくなるっていうか、一緒に戦ってあげたくなる感じ?」
ぐさ。
一瞬で求めていた答えの真逆を言われてしまった。
そうか……儚くないのか。
守ってあげたくならないのか。
分かってたことだけど、実際他の人から言われると心に刺さるね。
「傷心モードじゃん、珍しく」
「うん……」
「じゃあカフェでもいく? 話聞いてあげる」
このまま家帰っても一人だしな……。
今は誰かと一緒にいたいかも。
そもそも聖里くんが三滝先輩と一緒にいるとも限らないんだけどさ。
結局そのまま、わたしたちは駅前のおしゃれカフェに寄ろうという話になった。