ん? んん?
今さらっと大事なことこぼしたよね?
つまり、わたしは見ず知らずの人の家に一か月間泊まるってこと?
……ひとりで?
混乱するわたしをよそに、しいちゃんは何やら楽しそうにしている。
「明日の夜から出入り禁止にしちゃうみたいだから、明日学校から帰ったらそのまま送ってくね」
ああ、はい……拒否権ない感じですか……。
そうだよね、しいちゃんは昔からいつも強引だったよね。
でもさすがに、わたしに何の相談もなしに家の工事決めちゃうほどだとは思わなかったけど。
「じゃあ、今から荷物まとめておいで」
ええ……こんな深夜から……?
せめて電話でもいいからもうちょっと早めに言ってほしかったよ。
でも決めちゃったもんはしょうがないか。
わたしはやれやれと立ち上がって二階の部屋へ戻る。
キャリーケースを引っ張り出してきて必要なもの全部詰めてたら結構な大荷物になっちゃったけど、まあ一か月だし……。
……そういえば、どんな人が住んでるのか聞くの忘れたな。
なんて、その時のわたしは、大して事の重大さを理解していなかった。



