「……とにかく、さ」


「うん」


「なぎさはかわいすぎるから、もっと自重して」


「……」





一瞬、思考停止した。
本当になんて言ったの? もう一回教えて?





「なぎさはかわいいよ」





うん、全然聞き間違えじゃなかった。
なんで? 夢? 夢であってくれむしろ。




これこそ全女子に消されてしまう。
とんでもない威圧感と鋭い眼光で、存在ごと抹消されてしまう……!





「あっ、あのね、聖里くん……」




これ以上この至近距離に耐えられなくなったわたしはバッと上半身だけ起こしてうつむきがちに話しかけた。





「興味もない女子に、そういうこと軽々しく言うのはだめだと思うの」


「……ふうん?」




それを聞いて、聖里くんもまた、起き上がる。




「じゃあ聞くけど、なぎさは俺が本当になぎさに興味ないと思う?」


「……いや、まあ……たまに、興味ない女子にこんなことしないよなってときあるけど」


「でしょ。……あと、軽々しく言ってるつもりないよ。いつでも本気」


「……へ」


「だって、学校での俺知ってるでしょ」






知ってる、けど。
そんなこと言われても、信じられないんだもん。