「……なにこれ。何してきたの?」
この顔は……。
学校での無表情に近いけど、怒りが見える。
確実に怒ってらっしゃる。
わたしから他の人の匂いがしたところで聖里くんが怒る理由は全くもってわからないけど。
松野くんと話したときに学んだはずなのに。聖里くんを怒らせたらまずいって。
「えっと……」
「はっきり言って。隠そうとするならもっと怒る」
「……合コン、に」
ぴくっと聖里くんの眉間が動いた。
これ、もしかして噴火寸前?
わたしもう手遅れ?
「で、でも言い訳させてっ、わたしは……っ!」
芙実ちゃんに行先を伝えられてなくてついていったら合コンだった。
その旨を伝えたかったのに、言い訳をしようとしたのが気に入らなかったのか、聖里くんは思いっきりわたしの首にかみついた。
「いっ……!?」
痛い。すごく痛い。
じたばたしても、やめる気配は全くない。
あまりの痛みと混乱で涙があふれてきたころ、ようやく聖里くんは顔をあげた。
「……ムカつく。何されたの? 男に触られた? どこをどうやって」
「ま、まって……っ、なにもされてな、いし……」
力づくで抵抗してたせいで息があがってうまく喋れない。
触られはしたけど……変なことはなにもされてない。



