しいちゃんに言われるままにリビングへ降りて、対面になって座る。
コップ一杯の水を飲みほしたしいちゃんが口を開いた。
「この家、改修工事することになったの」
「……はい?」
改修? どこを?
っていうか、全然聞いてないよ? そんな話。
「ちょっといろいろ直したいとこがあって、マネージャーと相談してたの」
マネージャーって……。
確かにあの人は仕事だけの付き合いというより、プライベートでもよくしてくれてる友達みたいな人だけどさ。
そもそもしいちゃんは家にいることのほうが少ないじゃん。
「そしたらちょっとお金出してくれるっていうからあ」
「うん」
「工事取り決めちゃったんだけど」
「……いつからなの?」
「あした」
え。待ってね?
今、なんて言った?
「なんて?」
「だからあ、明日から工事なのっ」
いやいや! そんな当たり前みたいに言われてもっ!
急に受け入れられないって!
それにその工事期間中は家には入れるの? そもそも何日間!?
頭がパニックになっていると、しいちゃんは勝手に話を進めだした。
「わたしは事務所に泊まるからいいんだけどお、なぎちゃんがね」
「う、うん……」
「マネージャーが知り合いに頼んでなぎちゃんを一か月泊めてくれるって」



