……そうして、芙実ちゃんに無理矢理連れてこられた場所。
個室料理亭、和遙(わよう)。
駅のド真ん前という好立地。料理もおいしい。……そんなことは誰でも知ってるんです。





「あの、いったいなに……」


「すいませーん、連れが先に入ってるんですけどーっ」





……え? 連れ?
わたしの声はまるで聞こえてないみたいに、芙実ちゃんが店員さんと会話をしてなぜか通される席も決まっているみたいで。



短い廊下を少し歩いて、がらっと開けられたドア。
中には、ざっと四人の男の子と二人の女の子が座っていた。




「高坂さん遅かったじゃん!」


「はやく座りなよ」





がやがやしてる……こういう雰囲気、一番苦手なんだけどな……。
どうしよう、なんなのかわかんないけど、暗くなる前に帰れる?





「じゃあ自己紹介からはじめましょうか!」




そういって、一番通路側の男の子から時計回りに自己紹介。
わたしの番は芙実ちゃんに続いて最後だった。




「高坂芙実でーす! 趣味はお菓子作りです!」





はい、次なぎちゃん、って言われてわたしはよくわからないまま挨拶をする。




「お、折田凪咲……です。趣味は……家事です」


「なにそれ!」


「家事が趣味っておもしろ!」




……な、なんかウケたみたい……?
いや、自分でもよくわからない自己紹介をしたのは自覚してますけども。