【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。






その酷い言われように、俺も少しだけ胸が痛くなった。
でも俺はこの折田凪咲という女子のことをよくしらないし、助ける義理もなくて、そのままだまってココアを飲みながら聞いていた。




どうせすぐ泣き出す。
女子っていうのは泣けば済むと思ってる生き物だから。




昔から姉ちゃんがそうだった。
俺と喧嘩したとき、決まって親に泣きついてた。



いくら姉ちゃんがきっかけで起きた喧嘩でも、毎回『女の子を泣かせるんじゃない!』って俺だけが怒られた。
それだけじゃない。



小学校のころから、女子に告白されて俺が断ると、その振られた女子は毎回泣いて友達の同情を買ってた。
『榛名くんサイテー』って言われて、いつまでたっても俺が悪者扱いされるのが気にくわなかった。




……だから、こいつも同じ。
泣いて、周りの同情を誘う。



女子ってのはみんなそうだと、俺の長年の疑惑に確信を裏付けてくれと、最後までこの一方的な口喧嘩を見守ることにした。





「勝手なこと言わないでください」





そう強めな声が聞こえたから、俺はココアを飲む手を止めた。
……今の、折田の声?




はじめて聞いた声色に、俺は耳を立てていた。