【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。





しいちゃんのことは全然嫌いじゃない。
むしろ自慢だ、とっても。



だって今ではテレビをつければ実の姉が映し出されているんだから。




でも、結果論、しいちゃんはわたしのコンプレックスでもあった。
だから隣を歩くのは嫌だったし、中学の時は外で話しかけないでなんて約束を取り付けたりもした。




……美人、すぎるんだよなあ。
どう考えても。





目の前で酒に酔ってニコニコしている姉を眺める。
顔に出ないタイプだから相変わらず白い肌のまんまだし、家族だからとかひいき目なしに見ても超かわいいと思う。





「なぎちゃん?」


「……しいちゃん、お風呂入ろうよ、まず」





酒臭いし。まじで。
わたしが邪険そうにしいちゃんを押し返すと、当の本人は「えーっ」と口をとがらせた。





「あ、そうだ! なぎちゃん、なぎちゃん」


「なに?」




ベッドから立ち上がったしいちゃんを見上げたら、
なぜだか、今からよくないことが起きるような気がした。





「お姉ちゃん、なぎちゃんに言わなきゃいけないことがあるんだけど」





……ほらきた。
どうせうれしくないニュースに決まってる。