「それは……なぎさが大事だから」
「……どういうこと?」
「うん、まあ、そのうちね」
いや、そのうちって何?
大事って……関わり始めて間もないのに?
わからないことが多すぎて、全部聞きたくなるけど、どうやら聖里くんは本当に詮索されたくなさそうにしていたからそれ以上は口を噤んだ。
「でも……そばにいてくれてありがとう。すごく安心した」
「うん、これくらいならいつでも」
「今度お返しさせてね」
そういいながら無意識で頭を撫でてしまったが最後。
聖里くんに手をつかまれて、すっと聖里くんの頬に手を持っていかれる。
……え、ええ? なにこれ? 犬みたい、聖里くん……。
ていうか。
ナチュラルに、聖里くんの肌に触っちゃったよ……。
こんなの許されるかな?
普通に大罪な気がするけど。
「お返しなんていらない。……だから、なぎさも俺のそばにいて」
「……え」
なにも、返せなかった。
肯定も否定もできなかった。
……わたしで、いいの?
聖里くんのそばにいるにはふさわしくない、こんなやつだけど。
自分に自信がなくて、いつも他人に心配ばかりかけて、優柔不断で……。
「俺はなぎさがいい」
……そんなこと、あっていいんですか……。