【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。






「なぎさ、起き上がれる?」


「うん」





聖里くんに背中を支えられてゆっくり起き上がる。
床に置かれたおかゆを見ても風邪のせいで失われた食欲は復活しなかったけれど、薬は飲まなきゃいけないし、少しだけでも食べてみようかな……。





「口開けて」





うわあ……。
同級生の男の子に”あーん”をされるという屈辱……。
もう二度と味わいたくない。風邪なんかもう二度と引かない。





「おいしい?」


「……味しない」


「うーん、鼻詰まってるからか?」





確かにさっきから、無意識のうちにずるずる鼻すすってた。
なんで自分の体のことなのに聖里くんより気づくのが遅いんだ。




「はい、食べ終わったら薬のむよ」


「……うん」





コップ一杯の水と薬を渡されて、わたしはそれを口に入れて流し込んだ。
これで治ってくれるといいけどなあ……。
明日も学校だし、授業に遅れる前に登校したい。





「飲み込んだ?」


「うん」


「じゃあ片付けてくるから、ゆっくり寝てていいよ」






その言葉に甘えて、わたしはパタッと糸が切れたようにベッドに倒れた。
目をつぶって三秒、一瞬で夢の世界に落ちてしまった。