【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。







その日の夜……。



いつも通り自分の部屋で気持ちよく眠っていたところ、事件は起きた。




元々眠りは浅いほうだから、最初にどたどたという大きな足音で徐々に意識が戻って。
もうろうとする意識の中、物凄い勢いで部屋のドアがパーンッと開いた。





「なっぎちゃーん!」


「っ……!?」





おまけに近所迷惑にもなりかねない大きな声。
慌てて飛び起きると、よく見慣れた顔が立っていた。



……いやまあ、両親は遠い昔に他界してしまったから、こんな時間にわたしのこと起こすのこの人くらいしかいないんだけど。





「……しいちゃん」





しいちゃん、もとい、お姉ちゃん。
わたしの唯一の家族で、普段あんまり家にいないひと。



名前を呼んだあとスマホで時間を確認すると、深夜の三時を回っていた。





「なぎちゃんただいまあーっ」


「うわっ……酒くさっ」





酔ったテンションで抱き着かれて、お酒の匂いのきつさで倒れそうになる。
しいちゃん……美人なのに、酒癖ひどいからいつも男に逃げられるんだと思うなあ。