「付き合ってるんじゃないかとか言って、勝手に盛り上がってるだけだから」
「……いや、結構一大事では」
もうそこまで発展してたのか……。
今日は聖里くんが早退してて助かったけど、たぶんこのままだと聖里くんにも迷惑が及ぶよなあ。
ていうか。
聖里くんみたいなかっこいい人がわたしなんかと付き合うわけないって普通に考えてわからない?
わからないよな……恋は盲目ってやつか。
「んーっ、ちょっとお手洗い行ってくる、メイク直し」
「今日は教室でやんないの?」
「鏡忘れちゃってさあー」
あくびをこぼしながら教室を出ていく芙実ちゃんの背中を見送って、わたしはスマホのカメラで自分の顔を確認。
……やっぱり、普通。平々凡々。
顔面偏差値、しいちゃんに全部吸い取られたって感じ。
比べられて虚しくなることも昔よりは減ったけど……やっぱりダメ。
自分の顔は好きかと言われれば嫌いなほうだし。
それに……さっきから気になる。
数分に一回、こっちをちらちら見てる女子たちの視線。
気づいてるからね? こそこそしてるけど。
きっと、『榛名くんの彼女にしてはかわいくないよね』とか『SHINAの妹にしては似てない』とか言われてるに決まってる。
うわあ……なんでわたしの周りってこんなに人気者ばっかりなんだ。