なんだ。芙実ちゃんの嫉妬か。
……でも、それだけで松野くんが芙実ちゃんを追いかけることある?
まるで好きみたい……。
言葉にして、ピンときた。
「……松野くん、芙実ちゃんのこと好きなの?」
「っ……」
松野くんの顔がみるみるうちに赤くなっていく。
なあんだ、両想いだったんだ。
あの人気者の松野くんが一人の女の子のために切羽詰まるわけないもんね。
「絶対だれにも言うなよ」
「言わないよ。でも芙実ちゃんのことは見てないな」
「……そっか、ありがと」
恥ずかしそうに人差し指で頬を掻いて、「どこいったんかなー」って独り言みたいにこぼす松野くん。
芙実ちゃんなら松野くんのいるところに現れると思うけど……。
「俺もうちょい探してくるわ、折田も早めに帰れよー」
「うん、またね」
松野くんと別れた直後、スマホに二件メッセージが届いた。
どちらも聖里くんからで、
【今日はごめん】
【先帰ってる】
って、それだけ。
うーん。
気にしてないよって教えてあげるためにも、はやく帰ったほうがいいな、これは。



