【完】聖里くんの甘すぎる溺愛に耐えられない。







「……はあ」





大きなため息は静かな廊下に消える。
がこん、と自販機の取り出し口に落ちたココアを手に取ってプルタブを開けた。




結局あのあと、わたしがSHINAの妹であると知らなかった女の子たちの間でも、『体育の時間に榛名くんが喋りかけてた子だれ!?』と噂になり、教室でもいろんな人からおんなじ質問をされた。




『どんな関係?』

『いつ仲良くなったの?』



って。




同居してることはバレなかったけど……それでも、あの様子だと時間の問題だ。
明日から大丈夫かなあ……。





「——折田凪咲、だよね」


「へっ」





素っ頓狂な声が出た。
突然フルネームを呼ばれて声のほうを振り向けば、階段の一番下の段に腰をかけている、なんならよく見覚えのある男子生徒が座っていた。



……とはいえ、はじめて喋るし、なんなんだ……。





「そうだけど……松野くんがなんでわたしを」


「そりゃあ、有名人だから?」






全然うれしくないかも、その評価。



立ち上がった彼——松野朝日くんはこちらにふらっと歩いてきて、今度は壁にもたれかかった。