「きゃあーっ」
黄色い声が響き渡った。
体育館ってやけに音がこもるから、頭に響く……。
ただでさえさっき起きたばっかりなんだから。
「うるっさ」
「……すごいよねー」
芙実ちゃんが隣で座りながら怪訝な顔をする。
いつもふわふわしてる芙実ちゃんが悪態をついてしまうくらい、それは大きな大きな歓声だったってこと。
「本当に好きならわたしみたいに静かに見ろっての!」
「芙実ちゃんは騒いだりしないよね」
「うん。ところかまわず騒ぐような、その他大勢の一人にはなりたくないから」
「松野くんの記憶に残るような女の子にならなきゃいけないの」と続けた。
なんか……思ったよりしっかり恋してるんだなあ。
芙実ちゃんの苦労はわたしにはわからないけど、一番応援したくなる。
友達だからってひいき目なしでね?
「はあ……タオルとか持って行ってあげたい」
「行ってきたら?」
「ばか。あんなところ入っていったら女子たちに踏みつぶされるよ」
「たしかに」
我こそはタオルを渡したい、自分が飲んでいたスポドリを飲んでほしい、という女子のみなさんが寄ってたかって二大イケメンに群がっている……。
わたしも、あそこに入っていく勇気はないなあ。



