松野くんか……。
聖里くんと仲いいし、話してみようかな?
松野くんが芙実ちゃんのことどう思ってるか聞くくらいならいいよね、たぶん……。
「最近、松野くんがわたしのこと見てくれてる気がする」
芙実ちゃんの顔を見れば、白い肌がほんのり紅潮していて綺麗だった。
恋とかそういう感覚、わたしは中学生のときにどこかへおいてきてしまったから、素直に羨ましい。
今ならしいちゃんがそばにいない分、もっとまともに恋愛できるんじゃないかとも思うけど、あの頃と違うのは、しいちゃんがさらに誰でも名前くらいなら知っている人気芸能人になってしまったこと。
もっと多くのひとがしいちゃんとわたしを比べてしまう。
……だから、やっぱりわたしに恋愛は向いてない。
好きな人を作ったところで、しいちゃんに近づくためにわたしを利用されるに決まってるし。
うん、人の恋路を見ているだけでいいな、わたしは。
「ていうかっ! ……なぎちゃんは、恋したくなった?」
小柄な芙実ちゃんの角度完璧な上目遣い。
こんな聞き方をされるのは、わたしが昔から恋なんてもう二度としないって口癖みたいに言ってたからだ。



