まっすぐ見つめられて、息が詰まりそうになる。
そりゃそう、でしょう……。
同居してるなんて言いふらしたら、絶対いやがらせの的になるし。
聖里くんは、もう少し自分がモテすぎてることを自覚したほうがいい。
「……変な反感買いたくないし、わたしは言わないつもりだけど」
「そうだよな。……じゃあ俺も言わないし、学校ではこれまで通りでいよ」
「うん、ごめんね」
その目は……。
実に、わたしと同居していることを周りに言って回りたいというような目つき。
だから一応謝っといた。
そもそも、学校での聖里くんからして、そんなこと言いふらすキャラじゃないでしょ。
不審に思われるだけだよ、絶対。
「わたしも聖里くんのこと榛名くんって呼ぶから、聖里くんも折田さんって呼んでね」
「……わかった」
「めちゃくちゃ不服そう」
「不服だよ」
わたしがけらけら笑うと、聖里くんが不機嫌そうに眉間にしわを寄せた。
うーん、いつか言うとき来るかな? 時効になったら言ってもいいと思うけど、それってたぶん卒業したあとだしなあ。
「じゃあ、登校も別々?」
「もちろん」
わたしより先に朝ごはんを食べ終わった聖里くんが、立ち上がってお皿を重ねる。
「俺皿洗いしてから行くから先行ってていいよ」
「ほんと? 明日はわたしがやるね」
「うん」
面白くなさそうにシンクに向き合う聖里くん。
背中がなんだか哀愁漂ってるなあ……。
リビングのドアから顔をのぞかせて、「聖里くん」と名前を呼ぶ。
振り返った、その整い過ぎた顔に。
「いってきます」
声をかけて、今日から一か月間限定の我が家を飛び出した。



