「やー、見て、榛名くんと松野くん」


「えっぐ、顔綺麗すぎん?」





廊下の近くの席からそんな会話が聞こえてきた。
真っ先に反応したのがわたしじゃなくて芙実ちゃんだけど。





「気になる?」


「……気にならないっ」


「うそつき」






まあ、見たらもっと好きになっちゃうしねえ、あんなの。





芙実ちゃんが恋する松野朝日(まつのあさひ)くんと、その友達の榛名聖里(はるなひじり)くん。
芸能人かっていうくらい顔が整ってて、スタイルはモデルさんみたい。




基本男子の外見とか興味ないわたしが見ても、あの二人はずば抜けてかっこいいわ。
二人とも高身長で勉強も運動も人並み以上。




そりゃモテますよねっていう条件が全部そろってる。




わたしは一生交わることのない世界……。





「あー、ねむ。帰ろうよ、芙実ちゃ……あれ」






芙実ちゃんに問いかけたはずの声は空を切った。
きょろきょろとあたりを見渡すと、探していた姿は想像していた通りのところに。




……結局大好きなんだね。
そういう芙実ちゃん、かわいいけど。