「なぎさ可愛いしウブだから、大事にしてあげてね?」
「……もちろんです。絶対、誰にも渡しません」
ななな。
しいちゃんの前で何を言って……。
「俺は……なぎさと、結婚します」
「あら」
……無事、撃沈。
結婚宣言? なんで?
そういう雰囲気だった? ……だった、かもなあ。
しいちゃんも楽しそうだし……。
聖里くんは悪びれもなく『言い切った!』ってすがすがしい顔してるし。
「ふふ。熱いプロポーズ受けちゃって」
「……いや、もう、はい……」
なんでもいいです。
聖里くんがわたしを選んでくれるならそれで。
「聖里くんなら問題なさそうね。なぎさをよろしく」
「はい。一生かけて守ります」
ああー、もう。
いたたまれないのはわたしだけ?
なんでふたりともそんなに平気そうなの?
「ご飯の準備するかなっ、わたしは」
「なぎちゃん、作ってくれるの?」
「だってしいちゃんの料理は……」
食べられたもんじゃないし。
なんて言ったらつぶされそうだから、黙っとくね。
わたしが立ち上がってキッチンへいくと、すかさず聖里くんも立ち上がる。
「なぎさ、俺も手伝う」
「うん」
その様子を、ひとりニコニコしながら眺めているしいちゃん。
こんなのが、この先何十年も続いていくって、心臓もつかなあ……?