手っ取り早くハンバーグの食材だけ買って、帰路につく。
わたしの数歩前を歩く聖里くんの背中がやけに遠く感じた。





「なぎさ」


「……ん?」


「疲れた?」


「ぜんぜん」





普段も歩いてるし。
このくらいの距離、へっちゃら。
わたしの家からスーパー行くほうが、自転車使わなきゃいけないから大変だよ。





「手つなぐ?」


「なっ……んで」





変な声出た。
……だって、そんなこと言われると思ってないから。




からかわれてるんだろうな、わたし。
そんなちょろそうに見える? 心外。





「つながない」


「えー」





って言いながら笑ってるし。
やっぱり断られても楽しそうだ。




……浮かれてる、ってさ。
聖里くんがわたしと住めてうれしいなんて、現実とは思えない。



でもこんな楽しそうな姿みたら疑うのも罪悪感で押しつぶされそうだから、もうあなたを信じることにしたよ。





「楽しそうだね」


「そりゃ、なぎさと一緒だから」





深い意味は追求しないでおく。
わたしもこんな生活いいなって思っちゃったからね。




ずっとひとりだったし、そりゃ。
二人暮らしで浮かれるのも無理ないかな。