「あ……あれ? 聖里くん、偶然……」
「……そうだね」
やばい。
ほんと、ダメなんだって。
いま、なんか……聖里くんへの想いが溢れすぎて、声がうまく出ない。
心臓、うるさい……。
「ど、どうしたの? 誰かに用事? ……ざ、残念だけど、いまはわたししか……」
「うん。いいよ。俺が用あったの、なぎさだから」
焦って目が泳いでしまう。
まずい、不審がられる。
わたしに用って、なに……?
用があるのは、どちらかといえばわたしのほうというか……。
「……俺、さ。いつまでも待ってられるほど、大人じゃないよ」
タン、タン。
上履きと床がぶつかる音。
じりじり、近寄ってくる。
わたしは俯いたまま、だんだん距離の近くなる彼の上履きを見つめることしかできない。
「いつだってなぎさに触れたいし、話しかけたい。……隣に、いたい」



