ーー大好きなひとと両想いだった実感、今でも持てない。
もしかしたら夢だったのかも、って。
こんなにドキドキして痛い心臓も、本当はなかったのかもって。
強く、強く思う。
そんなわたしの現実逃避するみたいな願いは、その彼によってあっけなく壊されてしまうのだけど。
「……おはよ、なぎさ」
「……お、はよう」
こんなのんきに挨拶返してる場合じゃないんだよね。
朝目が覚めたらなぜか隣に聖里くんがいて、しっかり布団までかぶって添い寝モード……。
って、やっぱりこれどういう状況?
「聖里くん、また寝顔みた?」
「みた」
「……」
「写真撮らなかっただけえらいでしょ」
そういう問題、では。
なに開き直ってるんだか……。
でも今更、寝顔見られたくらいで顔赤くしないよ。
こんなのでいちいち照れてたら、わたしの体がもたない。