思えばさ。
学校でこんなに長い間話してるの、はじめてだよね。
気が付いたらまわりにはもう生徒の姿は見えなくて。
まるでわたしたちだけの空間、だね。
「話って……ここじゃ、言えない話?」
「うん、全然言えない」
聖里くんが口角をあげたのが見えた。
そんなに表情崩していいの? まだ学校なのに。
「……とりあえず、教室入ろうよ」
当たり前のように、聖里くんの教室に入ってしまった。
作り、まったく一緒だから一瞬自分のクラスかと錯覚するよね。
聖里くん。
カチ、カチって。
教室のドア、全部カギ閉めた。
……そんなことしていいの?
聖里くんは窓際に立って、わたしのことを手招きする。
大人しく近寄ったら、聖里くんの深い瞳に吸い込まれちゃいそうだったから、慌てて逸らした。
「……静か、だね」
「うん」
沈黙。
「明日、お休みだね」
「うん」
……気まずい。
なんでさっきから「うん」しか言ってくれないの?
変だよ、おかしいよ。
聖里くん。
……話って、なに?



